任意売却は、抵当権設定にかかるローン返済が滞っており、
かつ売却しようにもオーバーローン(残債務>売却価格)の状態を指します。
債務が完済されないと、債権者は抵当権の抹消に応じないのが基本姿勢です。
そのため、リースバックが成功しやすいケースは以下のようになります。
(1)抵当権設定がない、あるいは売却代金で完済できる。
(2)安定的な収入があり、賃料を問題なく支払えることが明らかである
(3)物件所在地周辺の不動産価格の下落リスクが限定的
債権者としては、ローン契約を反故にしたのに、元の所有者が住み続けることを快く思わないのは当然です。それに加え、売買の価格だけではなく、透明性の高い取引であるかも重要な要素です。そのため、任意売却物件でのリースバックの見込みは大変厳しいと言わざるをえません。
過去には、リースバックを望むあまり、債権者との交渉が決裂し、任意売却期間を取ってもらうことなく競売申立てとなり、結果近所中に競売の事実が知られた挙句、安値で競り落とされ、落札業者から強制的に立ち退きを迫られたケースもあります。
任意売却物件の場合、買主となる側も賃料が安定的に支払えるかどうかを非常に懸念します。住宅ローンは低利で長期間かけて返済していくので、支払いは相場の家賃並みかそれより安い、ということがほとんどです。その支払いが滞っているため、買主が神経を尖らせるのも道理、とご理解いただけることでしょう。